COVID-19患者の重症低酸素血症では60 mmHgを目標とした方が良い:HOT-COVID
Lower vs Higher Oxygenation Target and Days Alive Without Life Support in COVID-19: The HOT-COVID Randomized Clinical Trial
背景
重症低酸素血症の酸素投与における目標値はどの程度が妥当なのか。多くの臨床試験が行われてきたテーマだが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)でのデータは限られる。
デンマークAalborg University HospitalのNielsenら(HOT-COVID)は、ヨーロッパの11の集中治療室で酸素投与(毎分10 L以上)、または人工呼吸器による管理を必要としたCOVID-19成人患者を対象に、60 mmHg(低酸素化群)または90 mmHg(高酸素化群)のPaO2目標値を比較するRCTを実施した。
結論
登録不調により試験は早期に終了した。試験終了までに726名がランダム化された。
90日間の生命維持を必要としない生存日数は、低酸素化群で中央値80.0、高酸素化群では中央値72.0日であった(調整平均差5.8日)。
90日死亡率は低酸素化群30.2%、高酸素化群34.7%であった(リスク比 0.86)。重篤有害事象の発症率、退院後生存日数に有意差はなかった。
評価
近年では、Oxygen-ICU試験、Oxy-PICU試験がポジティブ、HOT-ICU試験、ICU-ROX試験はネガティブな結果を示しているが、COVID-19による低酸素血症患者を対象とした本試験は、より保守的な酸素化目標の有益性を実証した。