小児虫垂炎は血液マーカーで単純性と穿孔性を識別できる?
Gene Expression Profiling in Pediatric Appendicitis
背景
急性虫垂炎は単純性か穿孔性(複雑性)かによって、治療の選択肢・合併症発生率などが異なるが、両者の症状は類似している。
カナダUniversity of British ColumbiaのDhillonらは、アルバータ州Alberta Children’s Hospitalにおいて、2016〜17年に虫垂炎が疑われた救急外来の小児患者(n=71)から採取された末梢血のトランスクリプトーム解析を実施し、単純性虫垂炎と穿孔性虫垂炎を鑑別する血液学的メカニズムを検討する前向診断研究、GEPPA studyを実施した。
結論
35名が単純性虫垂炎、14名が穿孔性虫垂炎、22名では腹痛にもかかわらず、虫垂炎は認められなかった。
穿孔性虫垂炎では、免疫応答・炎症経路のダウンレギュレートと一致する遺伝子発現の変化が認められ、敗血症、特に最重症敗血症での遺伝子発現シグネチャと類似していた。
穿孔性虫垂炎でアップレギュレートされている4つの遺伝子シグネチャが特定され、穿孔性虫垂炎の予測に対する精度は85.7%であった。
評価
単純性と穿孔性の鑑別は画像を用いても困難な場合があるほか、小児ではCT・MRIの使用に制限がある。
本研究は、血液バイオマーカーにより穿孔性虫垂炎が迅速に特定できる可能性を示唆した。虫垂炎の初期管理におけるブレイクスルーとして期待される。