ICU患者での理想のSpO2目標値を予測する機械学習アルゴリズムを開発
Individualized Treatment Effects of Oxygen Targets in Mechanically Ventilated Critically Ill Adults
背景
重症成人患者での酸素化目標値に関して複数のRCTが行われたが、依然として明確な結論に至っていない。しかし、これらの試験の事後解析は、効果の不明瞭さの原因が患者の不均一性に存する可能性を示唆している。
アメリカUniversity of ChicagoのBuellらは、PILOT試験のデータ(n=1,682, https://doi.org/10.1056/NEJMoa2208415)を用い、末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)が28日死亡率に与える影響を予測する機械学習モデルを導出し、ICU-ROX試験のデータ(n=965, http://doi.org/10.1056/NEJMoa1903297)を用いてこのモデルを外部検証した。
結論
導出されたモデルがICU-ROX検証コホートで評価された。
SpO2目標値の高低がもつ治療効果は、28日死亡率の27.2%の絶対減少から34.4%の絶対増加の範囲であった。
一例として、低いSpO2目標値のベネフィットが予測された患者においては、急性脳損傷の有病率が高く、対して高い目標値のベネフィットが予測された患者では、敗血症とバイタル異常上昇の有病率が高かった。
ランダム化された目標値ではなく、モデルの予測による目標値を用いた場合、全死亡率は6.4%の絶対減少と考えられた。
評価
開発されたモデルは、これまで観察研究やRCTの事後解析を通じて示唆された通り、理想のSpO2値が患者ごとに異なっていることを示唆した。ここで示唆された死亡率への効果はかなり大きく、臨床試験によって検証が必要となる。