救急スタッフの離職は防げるのか
Perceived barriers and opportunities to improve working conditions and staff retention in emergency departments: a qualitative study

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Emergency Medicine Journal
年月
January 2024
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開始ページ
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背景

救急医療領域は、ストレスの多い職場環境、勤務時間の不規則さなどが相まって燃え尽き(バーンアウト)症候群の割合や離職率が高い。スタッフの定着を促すべく複数のガイドラインが作られてきたが、状況の改善はほとんどみられていない。
イギリスUniversity of BathのDanielsらは、ソーシャルメディアとRoyal College of Emergency Medicineのチャンネルを通じて募集された、さまざまなキャリア・雇用期間・専門を持つ救急医療スタッフ(医師・看護師・advanced care practitioner)を対象に、オンラインのフォーカスグループ・インタビューを実施し、救急外来の労働条件・働き方に関する懸念・障壁・改善機会を評価した。

結論

33名のスタッフが研究に参加した。2名の研究者による定性的データ分析の結果、以下の4つのテーマが特定された。
労働条件における最も困難な側面について尋ねると、参加者は「非難と否定の文化」を報告した。また、救急外来のスタッフのニーズを満たさない「耐えがたい労働環境」での過重なシフト、さらに救急内の「リーダーシップの不全」が問題への取り組みを困難にしていることも指摘された。ウェルビーイングへの取り組みとして、健康面・精神面での「サポートの整備」が強調された。

評価

救急スタッフの目から、現在の労働環境の問題点、改善のためのヒントを探った定性研究で、環境・実践レベルのさまざまな障壁に加えて、リーダーシップの機能不全が変化への機会を損なっているという認識が広く共有されていることを明らかにした。定着の促進に向けた基本的な視座を提供する研究である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)