心肺蘇生が40分以上行われた院内心停止患者は良好アウトカム率1%未満
Duration of cardiopulmonary resuscitation and outcomes for adults with in-hospital cardiac arrest: retrospective cohort study
背景
心停止患者での心肺蘇生の成功率は時間とともに低下すると考えられているが、どのぐらい蘇生努力を継続すべきかについての明確なコンセンサスはない。
アメリカUniversity of PittsburghのOkuboらは、心肺蘇生の継続時間によって機能的良好アウトカム率がどのように変化するかを検証するため、同国の多施設前向レジストリ、Get With The guidelines-Resuscyclationに登録され、2000〜2021年に院内心停止で心肺蘇生を受けた成人患者(n=348,996)を対象とした後向コホート研究を実施した。
結論
66.9%(233,551名)で自己心拍の再開があり、胸骨圧迫開始から再開までの時間は中央値7分であった。残る115,445名(33.1%)では自己心拍再開がなく、中央値20分で蘇生努力が終了された。生存退院に至った患者は78,799名(22.6%)であった。
蘇生開始から1分で自己心拍再開した患者の生存率は22.0%、機能的良好アウトカム率は15.1%であったが、この確率は時間とともに低下し、生存率は蘇生開始から39分で、機能的良好アウトカム率は32分で1%未満となった。
評価
大規模レジストリに基づく後向解析で、蘇生努力継続時間が延長するごとに生存率・良好アウトカム率が漸減することを確認した。
院外心停止では40〜45分で良好アウトカム率が1%を下回るとされているが(https://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.116.023309, https://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.115.018788)、院内心停止での本研究もこれを補強し、蘇生チーム・患者・家族の意思決定において考慮されるデータとなる。