カナキヌマブの肺がん治療転用は成功せず:CANOPY-1
Canakinumab Versus Placebo in Combination With First-Line Pembrolizumab Plus Chemotherapy for Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer: Results From the CANOPY-1 Trial
背景
カナキヌマブ(インターロイキン-1β標的化抗体薬)は、その抗炎症作用に注目した心筋梗塞二次予防効果の検証試験である第3相CANTOS trialの探索的解析(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)32247-X)で肺がん死亡率低減効果が示唆され、注目を集めている。
シンガポールDuke-NUS Medical SchoolのTanら(CANOPY-1)は、EGFR・ALK変異のない進行・遠隔転移した非小細胞肺がん患者の一次治療として、ペムブロリズマブ+プラチナベース化学療法に加えて、カナキヌマブまたはプラセボを併用し、無増悪生存期間・全生存期間を比較する第3相RCTを実施した(n=643)。
結論
無増悪生存期間中央値は、カナキヌマブ群6.8ヵ月、プラセボ群6.8ヵ月であった(HR 0.85)。全生存期間中央値は、カナキヌマブ群20.8ヵ月、プラセボ群20.2ヵ月であった(0.87)。
評価
術後補助化学療法への追加を検証したCANOPY-A試験の結果とともにJCO誌に掲載された(https://doi.org/10.1200/JCO.23.00910)。いずれの試験においても、期待されたカナキヌマブの効果は認められなかった。カナキヌマブの肺がん予防効果を検証するCan-Prevent-Lung試験が、現在も進行中である。