低リスクの頭部単独外傷患者を三次医療機関に送る必要はない
Identification and management of low-risk isolated traumatic brain injury patients initially treated at a rural level IV trauma center

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The American Journal of Emergency Medicine
年月
February 2024
78
開始ページ
127

背景

CT技術の進歩は、臨床的意義が明らかではない小さな頭蓋内出血の検出を可能にしているが、最小限の頭蓋内出血を有する頭部単独外傷患者は、高度管理が可能な施設に転送されるべきか。
アメリカUniversity of California, San DiegoのNeneらは、2018〜2022年に郊外(都市部から115マイル)のレベルIV外傷センターから同大学のレベルIセンターへと搬送された軽度外傷性脳損傷(mTBI)患者の後向解析を実施し、低リスク患者が三次医療施設への搬送なしに安全に管理可能かを検証した。
低リスク患者の定義は、グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)が13〜15、頭蓋内出血を有し、modified Brain Injury Guidelines(mBIG)スコアが1、すなわち酩酊しておらず、硬膜下血腫・脳実質内出血が4 mm以下、くも膜下出血が微量なものであった(https://www.mdcalc.com/calc/10432/modified-brain-injury-guideline-mbig)。

結論

250名の単独mTBI患者がレベルI外傷センターへと搬送された。受傷機序としては転倒が7割を占めた。
11.2%が低リスク(mBIG1)に分類されたが、このカテゴリーで神経学的損傷が進行したり、CT再撮影時に頭蓋内出血が悪化していたり、神経外科的介入を要した患者はおらず、42.9%は2日以内に退院した。
入院期間が長引いた症例は、敗血症などの内科的合併症あるいはdispositionの障害などが原因であった。

評価

mBIG1基準に該当する最小限の脳挫傷患者は、おおむね安全に経過した。転院なしの管理によって、不要な医療リソース利用を削減しうる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)