新規ADC、HER3-DXdがEGFR変異肺がんで第2相をクリア
HERTHENA-Lung01, a Phase II Trial of Patritumab Deruxtecan (HER3-DXd) in Epidermal Growth Factor Receptor-Mutated Non-Small-Cell Lung Cancer After Epidermal Growth Factor Receptor Tyrosine Kinase Inhibitor Therapy and Platinum-Based Chemotherapy
背景
HER3は非小細胞肺がん(NSCLC)の多くで発現し、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR TKI)への抵抗性に関わっている。抗HER3抗体とトポイソメラーゼI阻害薬を結合させた抗体薬物複合体、patritumab deruxtecan(HER3-DXdあるいはU3-1402)は、複数の治療歴を有するNSCLC患者での第1相試験において、有望な抗腫瘍活性を示している。
アメリカMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのYuら(HERTHENA-Lung01)は、EGFR TKI療法とプラチナ化学療法の治療歴を有する進行EGFR変異NSCLC患者を対象に、3週に1回、固定用量(5.6 mg/kg)または漸増用量(3.2 → 4.8 → 6.4 mg/kg)によるHER3-DXdの投与を行い、客観的奏功率を評価する第2相RCTを実施した。
結論
同様の設定による第1相試験の解析結果を受けて、漸増用量群への割り付けは51名で終了した。
固定用量の投与を受けた225名での客観的奏効率は29.8%であり、奏効持続期間は6.4ヵ月、無増悪生存期間は5.5ヵ月、全生存期間は11.9ヵ月であった(いずれも中央値)。オシメルチニブや化学療法歴のあるサブグループでも結果は同様であった。
ベースライン時に脳転移(放射線治療歴のない)を有した患者(n=30)における、中枢神経系の客観的奏功率は33%であった。
評価
HER3を標的とする新たなADCは、EGFR変異NSCLCのサードラインで3割に奏効をもたらした。将来の標準治療を目指し、第3相のHERTHENA-Lung02試験が進行中である(https://clinicaltrials.gov/study/NCT05338970)。

