医師が幼児へのIBD「予防食」を推奨する時が来た?
Early-life diet and risk of inflammatory bowel disease: a pooled study in two Scandinavian birth cohorts
背景
成人の炎症性腸疾患(IBD)リスクに対する食事の影響について多くの研究があるが、幼児期の食事の影響は。
スウェーデンUniversity of GothenburgのGuoらは、All Babies in Southeast Sweden (ABIS)とNorwegian Mother, Father and Child Cohort Study(MoBa)のデータを用いて、幼少期の食事の質とその後の IBD との関連を検討した。
子どもが生後12〜18ヵ月と30〜36ヵ月のときの食事について親に調査を行った。最終分析は、81,280名の1歳児の食事情報を対象とし、出生から小児期および青年期まで追跡した。うち307名がIBD と診断された。食事の質については、Health Eating Index(HEI)を用いて評価した。
結論
潜在的影響要因(世帯収入・粉ミルク摂取量・1歳までの抗菌薬使用等)の調整後、1歳時点での中//高品質の食事は、この年齢での低品質の食事と比較して、IBDのリスクが25%低かった。
1歳時に魚を多く摂取すると、そうでない場合と比較してリスクが低く、特に潰瘍性大腸炎のリスクが54%低かった。1歳時点での野菜摂取量の増加も、IBDのリスク低下と関連していた。
一方で、砂糖入り飲料の摂取はリスクの42%増と関連していた。 肉・乳製品・果物・穀物・ジャガイモ・砂糖・脂肪を多く含む他の食品グループと、全体的なIBDまたはクローン病または潰瘍性大腸炎のリスクとの間には、明らかな関連はなかった。
評価
重要な論点に関する初めての本格研究であり、著者らの結論は、3歳までの魚の摂取量が多い場合のみ、IBD(特に潰瘍性大腸炎)のリスクが低下する、というものである。他方、成人集団を対象とした研究(https://gut.bmj.com/content/63/5/776)では、砂糖・脂肪・赤身肉の摂取量が多いとIBD のリスクが高まるとされていた。BMJ Editorialは、生物学的妥当性を示す証拠が増えていることを踏まえ、医師が幼児に「予防」食を推奨する時期が来たのかもしれないと示唆している。