高リスク肺塞栓症の死亡率は未だ20%
Contemporary Management and Outcomes of Patients With High-Risk Pulmonary Embolism
背景
高リスクに分類される肺塞栓症（PE）患者は、高い短期死亡リスクにさらされる。
アメリカUniversity of PennsylvaniaのKobayashiらは、PERT（Pulmonary Embolism Response Team） Consortium Registryの後向解析を行い、中リスク・高リスク・血行動態破綻（catastrophic）のPE患者に対する管理の特徴を記述し、アウトカム不良と関連する因子を特定した（n=5,790）。
結論
2,976名が中リスク、1,442名が高リスクPEであった。
高リスク患者は高度な治療を受ける確率が高く（41.9% vs. 30.2%）、院内死亡率（20.6% v. 3.7%）、大出血（10.5% vs. 3.5%）がより一般的であった。多変量回帰では、昇圧剤の使用（オッズ比 4.56）、ECMOの使用（2.86）、肺に移動しつつある血栓の同定（2.26）、担がん（1.70）が院内死亡と関連する因子であった。
高リスクPEの13.7%が血行動態の破綻したcatastrophicなPEであり（n=197）、他の高リスクPEと比して院内死亡率が高く（42.1% vs. 17.2%）、ECMO（13.3% vs. 4.8%）と血栓溶解療法（25% vs. 11.3%）の実施が、より一般的であった。
評価
PERTは「肺塞栓に新しいパラダイムをもたらす」ためのアメリカ多施設チームで、その対象症例の死亡率は既存の報告より低い。それにも関わらず、依然として高リスクPE患者の5人に1人が死亡し、catastrophic PEはさらに2倍の死亡リスクを有した。JACC Editorialは、Where Do We Go From Here?という根本的問題を提起している。
