重症患者への調整晶質液はおそらく有益だが効果は小さい:メタアナリシス
Balanced crystalloids versus saline for critically ill patients (BEST-Living): a systematic review and individual patient data meta-analysis
背景
重症患者への輸液での、生理食塩液と調整晶質液の優劣に関し、多数の研究が行われてきたが、結果は微妙である。
ブラジルHCor Research InstituteのZampieriらは、ICUの成人患者を対象として輸液蘇生または維持輸液として生理食塩液と調整晶質液を割り付け、死亡率について比較したRCTを検索し、同定された試験の患者個別データに基づくメタアナリシスを実施した。
結論
5,219件の記録から、6件の適格なRCTが同定され、34,685名の参加者のデータが得られた。
院内死亡率は、調整晶質液群で16.8%、生理食塩液群で17.3%であった(オッズ比 0.962)。調整晶質液が死亡率を低下させる事後確率は0.895であった。一方、外傷性脳損傷患者では調整晶質液群の19.1%、生理食塩液群の14.7%が死亡した(1.424)。調整晶質液が外傷性脳損傷患者の死亡率を上昇させる事後確率は0.975であった。
評価
調整晶質液は、生食と比して院内死亡を減少させる可能性が高いと考えられた。ただし、絶対リスクの低下は0.4%(相対リスク低下も約4%)と小さく、コストが問題になる場合には生食へ置き換えることも合理的である。一方、外傷性脳損傷患者では調整晶質液は有害であった。