2型糖尿病のオンラインケアは対面ケアに劣る?
Patterns of Telemedicine Use and Glycemic Outcomes of Endocrinology Care for Patients With Type 2 Diabetes

カテゴリー
生活習慣病
ジャーナル名
JAMA Network Open
年月
December 2023
6
開始ページ
e2346305

背景

遠隔医療は2型糖尿病(T2D)患者のケアアクセスを向上させるが、2020年の初期導入以降における成人T2D患者に対する遠隔診療の利用パターンとアウトカムは。
アメリカUniversity of PittsburghのZupaらは、同国大規模統合ヘルスケアシステムにおいて、さまざまな臨床的複雑性を有する成人T2D患者(n=11,498)が、内分泌内科ケアを受ける際の遠隔医療の利用パターンと血糖コントロールとの関連を評価する後向コホート研究を行った(2022年6月〜2023年10月)。患者は、遠隔診療、対面診療、混合診療の3つのコホートに割り付けられた。

結論

遠隔医療のみの患者では、12ヵ月後の調整後HbA1cに有意な変化はみられなかったが、対面・混合(遠隔医療と対面診療)コホートでは各0.37%・0.22%の改善がみられた。
ベースラインのHbA1cが8%以上の患者も同様の血糖アウトカムを示した。1日複数回のインスリンを処方された患者とインスリンを処方されなかった患者では、12ヵ月間のHbA1cの推定変化率は、遠隔治療が対面治療より0.25%高かった。併存疾患は、どのコホートにおいてもHbA1cの変化と関連していなかった。

評価

T2Dは遠隔治療に好適なものとみられ、コロナ期にアメリカで広範に採用されたが、大きくは「対面に劣る」というここでの結果は見直しを迫る。利用されたシステムは特定されておらず、大規模であるが初期研究とみなされる。著者らは、遠隔医療の成績が悪化したのは、対面情報がオンラインでは完全に翻訳されないためである、としている。システムを改善して前向試験が行われることが望ましい。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(生活習慣病)

Journal of the American Medical Association (JAMA)、The New England Journal of Medicine (NEJM)、Lancet、Diabetologia、Diabetes Care (Diabetes Care)