低体温療法はショック非適応の心停止患者にも利益なし:メタアナリシス
Hypothermia vs Normothermia in Patients With Cardiac Arrest and Nonshockable Rhythm: A Meta-Analysis
背景
院外心停止後の昏睡患者に対する低体温療法が、正常体温の維持を上回るベネフィットを有するかについては、すでに長年にわたる検証が行われている。TTM試験や後続のTTM2試験などでは低体温療法と正常体温療法の差がみられなかった一方、初期リズムがショック非適応であった患者を対象としたHYPERION試験では、低体温療法の効果が認められた。
ベルギーUniversite Libre de Bruxelles(ULB)のTacconeらは、2件の多施設RCT(TTM2・HYPERION)の患者個別データを用いたメタアナリシスを行い、ショック非適応リズムの心停止後昏睡患者に対する低体温療法(目標体温33℃)と正常体温療法(36.5〜37.7 ℃)の有効性を比較した。
結論
TTM2から490例、HYPERIONから422例が解析に含まれた。62.6%は初期リズムが心静止であり、55.2%は非心原性と推定された。
3ヵ月時点での死亡率は、低体温療法群で80.1%、正常体温療法群で82.1%と差がなかった(相対リスク 1.04)。フォローアップ最終日での神経学的不良アウトカム率は、それぞれ90.0%、89.2%であった(0.99)。低体温療法とアウトカムとの関連はサブグループ間で一貫していた。
評価
ショック非適応患者に絞ったこのメタアナリシスでも、低体温療法のベネフィットは認められなかった。体温管理療法についての検証の焦点は、フィードバックデバイスなどを用いた、よりクオリティの高い管理に移っている(https://clinicaltrials.gov/study/NCT05564754)。


