UKBiobankビッグデータでCADのリスクのゲノム予測スコアmetaGRSを開発
Genomic Risk Prediction of Coronary Artery Disease in 480,000 Adults Implications for Primary Prevention

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
Journal of the American College of Cardiology
年月
October 2018
72
開始ページ
1883

背景

ゲノムデータによる冠動脈疾患(CAD)リスク評価がいくつか試みられている。英Cambridge Baker Systems Genomics InitiativeのInouyeらは、UKBibankデータ170万バリアントに基づくCAD(metaGRS)リスクスコアを開発し、その有用性を評価した(CAD症例22,242、対照例460,387)。

結論

CADハザード比(HR)は、metaGRSスコア1SD増加につき1.71であり、既発表のすべての遺伝子リスクスコアより大きかった。個人をCADリスクの異なるライフコース軌道に階層化した場合、metaGRSスコア最上位20%個人のリスクは下位20%に比しHR4.17であった。metaGRSは、従来の6リスク要因(喫煙・糖尿病・高血圧・BMI・自己報告高コレステロール血症・家族歴)のいずれよりもCAD発症のC指数が高かった(C=0.623)。従来因子2以上保有でmetaGRS上位20%である男性は、48歳までのCAD累積リスクが10%に達した。

評価

現在最も先進的なUKBiobankのビッグデータを利用し、この種のスコア開発(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27655226)の頂点をつくった。通常リスク因子への付加価値は非常に大きいとはいえなかったが、若年者のリスク予測では従来因子を凌駕する。データは増加中で、スコアの更なる洗練が期待できる。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)