孤立性/本態性頭部振戦にボツリヌス毒素:Btx-HT
Trial of Botulinum Toxin for Isolated or Essential Head Tremor
背景
本態性頭部振戦の治療にA型ボツリヌス毒素が有用である、という示唆がある。
フランスUniversite Clermont-AuvergneのMarquesら(Btx-HT)は、孤立性/本態性の同患者120名を対象として、これを検証するRCTを行った(対照:プラセボ。無作為化当日の0日目と12週目にそれぞれ投与)。一次アウトカムは、2回目注射後6週(無作為化後18週)におけるCGIスケールの2ポイント以上の改善である。
結論
ボツリヌス毒素の一次アウトカムに対する効果を認めた。18週後におけるCGI スケールの2ポイント以上の改善は、介入群の31%、対照群の9%で達成された(相対リスク 3.37)。ベースラインから 6、12、24週目までの振戦の特徴の変化等の二次アウトカムも一次アウトカムの結果を支持した。有害事象は、ボツリヌス毒素群の約半数に発現した(頭頸部痛・後頸部筋力低下・嚥下障害等)。
評価
従来より示唆されていた効果を、先行RCTの30年後に10倍以上の規模で確認した(https://www.webofscience.com/wos/woscc/full-record/WOS:A1995QT45400038)。効果の規模も印象的で、標準化につながる上質なエビデンスとなった。