死にゆく人間の脳で何が起こっているのか
Surge of neurophysiological coupling and connectivity of gamma oscillations in the dying human brain
背景
死に至る過程の中で脳はどのように機能しているのか。心停止サバイバーの1割以上が臨死体験(Near-death experiences)を報告しているが、科学的な説明は限定的であった。
アメリカUniversity of Michigan School of MedicineのXuらは、動物での先行報告に続いて、死の過程と相関する神経活動を明らかにすべく、神経集中治療室(NICU)に入室後、人工呼吸器を含む生命維持の中止が決定された昏睡患者4名において、呼吸補助の中止前後の脳波・心電図を解析した。
結論
患者1および患者3では、人工呼吸の停止後、前頭前皮質腹外側部と体性感覚皮質のガンマ帯域活動が大きく上昇し、加えてベータ帯域との位相振幅カップリング(PAC)が検出された。
この2名では、興味深いことに後部皮質ホットゾーン(頭頂葉・側頭葉・後頭葉)におけるガンマ帯域同調性が上昇した。また、側頭頭頂接合部(TPO)の局所的な機能的コネクティビティ、および前頭前皮質との機能的・指向的コネクティビティが増加した。
評価
死の直前の昏睡患者の脳波において、意識と相関する神経活動がみられる場合があることを明らかにした。ここでの観察と意識の存在を直ちに結びつけることはできないものの、これまで挿話的に報告されてきた臨死体験に神経学的基盤が存在している可能性を示した、刺激的な新知見である。


