アレルギーはなぜあるのか?:アレルゲン回避行動を免疫システムが媒介する
Immune sensing of food allergens promotes avoidance behaviour

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
Nature
年月
August 2023
620
開始ページ
643

背景

アレルギーの生理学的役割は依然、謎に包まれている。先行研究は、アレルギー反応がくしゃみや痒みなどの防御的な神経反射を引き起こすだけでなく、アレルゲンに対する回避行動を誘発することを示唆している。
アメリカYale UniversityのFlorsheimらは、アレルギー感作が回避行動に与える影響を検討すべく、オボアルブミン(OVA)と水酸化アルミニウムの皮下注によりマウスを感作し、行動・神経活動への影響を検証した。また、免疫グロブリンE(IgE)の関与を検証するため、IgE欠損マウスで調査を行った。

結論

対照マウスはOVA溶液を好む傾向があった一方で、感作マウスではOVA溶液への嗜好性が用量依存的に低下した。この忌避は少なくとも48週間持続した。OVAを経口投与した90分後に脳を採取して、Fos染色を行い、神経細胞の活性化を調査すると、感作マウスでは孤束核、外部外側腕傍核、扁桃体中心核の活性化が誘導されており、アレルゲン摂取を制限するための防御反応であると考えられた。
回避行動の発達はIgE細胞・マスト細胞と相関しており、IgE欠損マウスやマスト細胞除去マウスではOVA溶液への回避行動はみられなかった。また、消化管の肥満細胞によって生成されるシステニールロイコトリエン(cysLTs, アレルギー症状の原因となる)が、回避行動に必要であることが示唆された。加えて、感作マウスでは消化管内の成長分化因子15(GDF15)の発現が増加しており、GDF15レベルの増加により、アレルゲン回避傾向が高まることが確認された。

評価

アレルゲンの免疫感作が、神経系や腸管内の細胞の反応を引き起こし、アレルゲンへの回避行動を生成することを明らかにした。アレルギーを引き起こす免疫システムがなぜ生まれたのか、という進化的視点を提供するとともに、新たな治療法開発にも示唆を与える。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell