パーキンソン病への最適な理学療法は「不明」:系統的レビュー・メタアナリシス
Type, Timing, Frequency, and Durability of Outcome of Physical Therapy for Parkinson Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis
背景
パーキンソン病(PD)患者のための適切な理学療法(PT)の期間・頻度・タイミング・介入方法は。
アメリカUniversity of FloridaのSalloumらは、この主題に関する2000〜2022年発表の46件のRCT論文(n=3,905)を対象とする系統的レビュー・メタアナリシスを行った。
結論
PT介入期間は2〜12週、頻度は週2〜3回が最も多かった。セッション時間は30〜60分で、PTのアウトカムとしては歩行能力・バランス・QOL・認知機能が主だった。PT介入と無介入にUPDRSスコアの有意差はなく(標準化平均差[SMD], −1.09)、さらに標準PTと水中運動療法等の非標準PTでも歩行能力(SMD, 0.03)・バランス(SMD, 0.54)・UPDRS(SMD, −0.49)に有意差はなかった。また、週のPTセッション回数(SMD, 0.17)によるアウトカム差も認められなかった。PDへのPT介入方法は多くあったが、種類・タイミング・頻度・期間のアウトカムの有効性データには、ばらつきが大きかった。
評価
個別患者レベルのメタアナリシスではないが、PDへのPT介入に現在有力な手法はない、という結論を示した。2022年のexpert viewpoint(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36094521/)でもPDへのPTに最適なタイミングはないとの見解が示されており、この主題に関する研究は困難で、未だ試行期である。