高強度身体活動はうつ改善に有効:アンブレラレビュー
Effectiveness of physical activity interventions for improving depression, anxiety and distress: an overview of systematic reviews
背景
運動がうつ・不安感・精神的苦痛に与える効果についてのエビデンスの全体像は。
オーストラリアUniversity of South AustraliaのSinghらは、2022年1月までに発表された同症状を有する成人患者を対象としたRCTの系統的レビュー・メタアナリシス計97試験(n=128,119)を対象とするアンブレラレビューを行った。
結論
大半のレビュー(77件)はAMSTAR(A Measurement Tool to Assess Systematic Reviews)スコアが非常に低くかった。身体活動は標準ケアと比べ、軽度〜中等症のうつ(効果量中央値 0.43)・不安(0.42)・精神的苦痛(0.60)に中等度の効果があった。うつ・HIV・腎臓疾患・妊婦・産後の女性・一般健康人には大きな効果がみられ、高強度の身体活動はさらに大きな症状改善と関連したが、長期介入は運動介入の効果を低減した。
評価
このテーマに関する初のアンブレラレビューである。一般に盲検化困難で介入手法が多様なため、エビデンスの質を高めることができず、長期介入で効果が落ちる、という説明困難な結論も導いている。しかし、このアプローチが有害であるというエビデンスは見出されていない。