パンデミック期の「謎の小児急性肝炎」の原因はアデノ随伴ウイルス2型か
Adeno-associated virus type 2 in US children with acute severe hepatitis
背景
2022年4月から、世界各国でA-E型肝炎ウイルスによらない原因不明の小児急性肝炎の報告が相次いでおり、これまでにヒトアデノウイルス(HAdV)やアデノ随伴ウイルス2型(AAV2)との関連が示唆されてきた。
アメリカUniversity of California, San FranciscoのServellitaらは、2021年10月1日〜2022年5月22日に発生したHAdV陽性小児16名からサンプルを取得し、対照113例と並行してメタゲノムシーケンシング・PCRシーケンシング等を実施した。
結論
原因不明の急性肝炎患児から得られた血液サンプル14例のうち、13例(93%)でAAV2が検出された。これに対し、対照グループでは3.5%、原因が明確な肝炎30名では1例も検出されなかった。対照グループの肝炎を伴わない急性胃腸炎の39.1%(9/23名)で、HAdV-41が検出されたが、AAV2との同時感染は13.0%(3名)のみであった。原因不明の肝炎では、エプスタイン・バール・ウイルス、ヒトヘルペスウイルス6、エンテロウイルスA71の同時感染も12例で検出され、対照と比して、ヘルペスウイルスの検出率が高かった。
評価
一部では、ロックダウン解除後の急激なウイルス曝露との関連も疑われる「謎の小児急性肝炎」の原因に迫る報告で、同じくAAV2の関与を示唆する独立した2論文(https://doi.org/10.1038/s41586-023-05948-2, https://doi.org/10.1038/s41586-023-06003-w)とともに、Natureに発表された。Morfopoulouらの論文(https://www.nature.com/articles/s41586-023-06003-w)と一致して、HHV-6などのヘルパーウイルスがAAV2と同時感染することで、重篤な症状を引き起こす可能性を示唆した。


