Long COVID、定義の試み
Development of a Definition of Postacute Sequelae of SARS-CoV-2 Infection

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
May 2023
329
開始ページ
1934

背景

「Long COVID」(postacute sequelae of SARS-CoV-2 infection [SARS-CoV-2感染急性期後後遺症:PASC])は、医療語として定着しているが、定義・診断基準が明かでない。
アメリカHarvard Medical SchoolのFoulkesら(RECOVER)は、参加者9,764名(SARS-CoV-2感染者89%)を対象とする前向コホート研究を行った。一次アウトカムは、44の患者報告による症状である。

結論

参加者中、2021年12月1日以後に初感染し、感染後30日以内に登録された2,231名のうち224名 (10%) が、6ヵ月時点でPASCと診断された。対照参加者(非感染者)との比較により、37の症状をPASCのスコアリング指標として同定した(オッズ比 1.5)。これらには、労作後倦怠感・疲労・ブレインフォグ(頭の霧かかり)・めまい・胃腸症状・動悸・性能力減退・味覚嗅覚変化・口渇・慢性咳嗽・胸痛・異常運動があった。

評価

「6ヵ月以上残る」という共通理解しかなかったLongCOVIDの再定義の試みだが、すべて主観症状で画像を含む客観データが組み込まれていないことが注目される。他方、免疫系をはじめとする多システム疾患としてのLong COVIDの研究はすでに膨大で、バイオマーカーも提案されている(https://www.nature.com/articles/s41579-022-00846-2)。ここでの症候論的定義は、著者らが言うように「PASCを新疾患として定義するための第一歩」とみなされる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell