NASHに肥満手術:BRAVES
Bariatric-metabolic surgery versus lifestyle intervention plus best medical care in non-alcoholic steatohepatitis (BRAVES): a multicentre, open-label, randomised trial
背景
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)治療には決め手がない。
イギリスKing's College LondonのMingroneら(BRAVES)は、25〜70歳の肥満(BMI 30〜55)、2型糖尿病(T2D)の有無、組織学的にNASHが確認された参加者288名を、生活習慣の改善+最善の内科治療(best medical care)、ルーワイ胃バイパス術、スリーブ胃切除術に割り付けるRCTを行った。一次アウトカムは、1年後における肝線維化の悪化を伴わないNASHの組織学的消失である。
結論
ITT解析で、ルーワイ胃バイパス・スリーブ胃切除の一次アウトカム効果を認めた(NASH消失確率:各3.60倍・3.67倍)。
Per protocol解析でも同様であった。肥満手術群の10例で重篤有害事象が発生したが、再手術は必要とせず、内科的・内視鏡的管理で解消した。
評価
多くの症例シリーズ・観察研究で生成されてきた仮説をRCTで堅固化した準ランドマーク研究である。抗肥満治療ではtirzepatide・cagrilintide・semaglutide等が急速に汎用されており、semaglutideがNASHに有効という報告もある。したがって、肥満手術がNASH治療のスタンダードとなるかどうかは未だ明らかでない。