「女性ドナーからの赤血球輸血は危険」仮説を棄却:iTADS
Effect of Donor Sex on Recipient Mortality in Transfusion
背景
赤血球ドナーの性別が輸血レシピエントの死亡率に影響する、という仮説がある。
カナダOttawa HospitalのFergussonら(iTADS)は、8,719件の輸血でのRCTにより、この仮説を検証した。無作為化は、過去の配分とマッチさせるため60(男性):40(女性)ドナー比とした。一次アウトカムは、生存である(参照集団は男性ドナー群)。
結論
女性ドナーの赤血球使用戦略と男性ドナーの赤血球使用戦略との間に一次アウトカム差を認めなかった。
評価
関連がある、とした最初の報告は同じカナダからのもので、30,503件の赤血球輸血で、女性の場合の死亡HRを1.08(P<0.001)としていた(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27398639/)。僅差を有意とした後向分析であり、このRCTにより否定されることになる。他方、ドナー側の何らかの一般的因子が輸血アウトカムに影響するというのは重要な視点であり、さらなる検証が必要である。