オミクロン期ではmRNAワクチン2回接種では高齢者施設入居者を防護できない?
Association of COVID-19 Vaccination Rates of Staff and COVID-19 Illness and Death Among Residents and Staff in US Nursing Homes
背景
高伝播性オミクロンバリアント時代のmRNAワクチンの有用性に関しては、未だ情報が不足している。
アメリカUniversity of ChicagoのSinhaらは、米の1,5042高齢者施設を対象として、この問題を検討するコホート研究を実施した。一次アウトカムは、入居者の週単位でのCOVID-19感染・死亡数、および職員の週単位でのCOVID-19感染数である。治療変数は、各施設における職員のワクチン接種率である。
結論
オミクロン期以前では、施設職員のワクチン接種率10% ポイント増加毎に、1,000人・週当たり COVID-19感染数が0.13減少、死亡数が0.02減少した。他方、オミクロン期では、この関連は認められなかった。
評価
ここでの「接種」は、研究時点では未だ原ワクチン2回接種である。オミクロン期では2価ワクチンのブースター接種なしでは施設老人を有意に防護できない可能性があるが、未だデータは不足している。アメリカでは政府のブースター呼びかけが大きなインパクトをもたなかったことが報道されている(https://bigworldtale.com/world-news/bidens-push-for-covid-boosters-in-nursing-homes-had-modest-impact-what-happened/)。