遅発型小脳失調症(LOCA)の原因は深部イントロン FGF14 GAA リピート伸長
Deep Intronic FGF14 GAA Repeat Expansion in Late-Onset Cerebellar Ataxia
背景
遅発型小脳失調症(LOCA)の遺伝子基盤は未定であった。
カナダMcGill UniversityのBraisらは、フランス系カナダ人常染色体優性LOCA3家系6名のバイオインフォ-マティクス・ロングリードシーケンシングによる解析および他患者との比較、および剖検・細胞レベル研究による原因変異の確定を報告している。
結論
フランス系カナダ人の解析患者で、線維芽細胞増殖因子14のコード遺伝子FGF14の第1イントロン深部にGAAリピート伸長を同定した。FGF14(GAA)≧250伸長とLOCAとの間に有意な関連を認めた(OR 105.60)。この関連は独立ドイツ人シリーズでも認められた(OR 8.76)。このリピート伸長は、フランス系カナダ人発端患者の61%、ドイツ人発端患者の18%、オーストラリア人発端患者の15%、インド人発端患者の10%に認められた。FGF14(GAA)≧250伸長を有するLOCA患者を世界で全128名例同定した。剖検小脳検体と患者のiPSC由来運動ニューロンで、FGF14のRNA・タンパクの発現低下を認めた。
評価
稀ではない同疾患で、未だ同定されたことのないFGF14 遺伝子のリピート伸長をイントロン深部に同定し、病因変異として確認した。同疾患の病因を確定しただけでなく、他の多くの不祥遺伝性神経変性疾患への新しいアプローチをも示した重要な発端研究である。