米国オピオイド濫用妊婦へのブプレノルフィンとメサドンの効果を大規模比較
Buprenorphine versus Methadone for Opioid Use Disorder in Pregnancy
背景
アメリカでは妊婦にもオピオイド濫用者があり、妊婦死亡の主因となっている。
Brigham and Women’s HospitalのSuarezらは、2000〜2018年に米国の公的保険に加入した女性の妊娠2,548,372件のデータに基づき、ブプレノルフィン投与を受けた妊娠者とメサドン投与を受けた妊娠者のアウトカムを比較検討した。
結論
妊娠前期には妊娠者10,704名がブプレノルフィンを、4,387名が メサドンを、また妊娠後期には11,272名が前者、5,056名が後者を使用した。新生児薬物離脱症候群は、分娩前30日間にブプレノルフィンに曝露された児の52.0%に、メサドンに曝露された児の69.2%に発生した。妊娠前期にブプレノルフィンに曝露された児の14.4%と、メサドンに曝露された児の24.9%で早産が、各12.1%・15.3%で在胎不当過小、各8.3%・14.9%で低出生体重が発生した。帝王切開は、妊娠前期にブプレノルフィンを使用した妊娠者の33.6%とメサドンを使用した妊娠者の33.1%で発生し、各3.3%・3.5%に重度の母体合併症が発生した。妊娠後期使用のアウトカムは前期使用と同等であった。
評価
オピオイド濫用者妊娠への現在の第一選択はブプレノルフィンであり、大規模調査によって、その正当性を裏付けた結果である。しかし、母体有害アウトカムのリスクには大差がないうえ、両薬ともに現在劇的に増加しつつあるフェンタニル濫用には、ほとんど効果がない。