ビッグデータが示す、米介護施設へのCOVID-19のインパクト
Changes in Health and Quality of Life in US Skilled Nursing Facilities by COVID-19 Exposure Status in 2020
背景
COVID-19は介護・看護施設老人に最も強いインパクトを与えたが、米高度看護施設(SNF)におけるその実態は。
アメリカHarvard T.H. Chan School of Public HealthのBarnettらは、2018〜2020年のSNF 15,477施設長期入居者2,985,864名を対象とする後向観察研究を行った。一次アウトカムは、死亡率・入院率・救急(ED)受診率・日常生活動作(ADL)・体重・うつ症状の月別変化である。
結論
COVID-19感染者を有するSNFでは、パンデミック初年にプレパンデミック期間と比べ、死亡率が1.60%増加し、ADLが0.36低下した。COVID-19の感染状況にかかわらず、パンデミック初年にSNFで体重減・抑うつ症状が有意に増加した。
評価
今回のパンデミックでの中心疫学問題に関する最大の本格調査である。感染者発生施設での死亡率の1.6%増は「意外に低い」という印象を与えるほか、発生施設では入院率が逆に0.1%減った。また、感染者非発生施設では、死亡率が0.15%減ったなど、興味深い事象を発見している。また、感染者非発生施設でも居住者は体重が減り、より落ち込んだ、と報告している。