大規模ゲノム医学解析で肝疾患におけるCIDEBの機能を同定
Germline Mutations in CIDEB and Protection against Liver Disease
背景
NASHや肝硬変の遺伝子基盤は。
Regeneron Genetics CenterのLottaらは、肝アミノトランスフェラーゼ値データを入手しえた542,904名、各種肝疾患患者24,944名、肝疾患を有しない対照者490,636 名を対象とする多段階エクソームシーケンシング・遺伝子関連解析およびin vitro実験を行った。
結論
APOB・ABCB4・SLC30A10・TM6SF2のまれなコードバリアントが、アミノトランスフェラーゼ値上昇と、肝疾患リスク上昇に関連することが明らかとなった。また、CIDEBバリアントの肝防御効果が同定された。CIDEBのまれな推定機能喪失バリアントとミスセンスバリアントの総量は、ALT値低下に関連し、全原因肝疾患オッズの33%低減と関連した。CIDEBのまれなコードバリアントは、多様な肝疾患リスクの低減と関連し、全原因肝硬変のアレル当たり、オッズ比は0.50であった。また、肥満手術を受けた患者3,599名で、CIDEB のまれなコードバリアントが、NASH活動性スコア低値と関連した。さらに、オレイン酸を投与したヒト肝細胞癌細胞株では、CIDEBのRNAiノックダウンにより、大肝脂肪滴の形成が抑制された。
評価
遺伝子医学の多様な手法の大規模利用により、長く知られていたが不祥だった遺伝子CIDEBの機能解明をもたらした。Regeneron と Alnylam はすでに、PNPLA3・HSD17B13 を標的化するサイレンシング治療を臨床試験中である。CIDEB のRNAi治療も臨床架橋が期待される。