COVID-19への ワクチン効果はアルファ株よりデルタ株で弱まった
Effect of Covid-19 Vaccination on Transmission of Alpha and Delta Variants
背景
COVID-19のワクチン効果の臨床試験は、主にSARS-CoV-2アルファ株伝播期に行われており、その後のデルタ株・オミクロン株への効果は確定されていない。英国University of OxfordのEyreらは、イングランドの接触者検査データ(n=108,498)に基づき、成人感染発端患者の成人接触者へのアルファ株・デルタ株伝播に対するBNT162b2(Pfizer)またはChAdOxnCoV-191(AstraZeneca)ワクチンの効果を検討する後向観察コホート研究を行った。
結論
接触者の37%が SARS-CoV-2 PCR検査陽性であった。アルファ株感染発端患者におけるBNT162b2・ ChAdOx1nCoV-191ワクチンの2回接種の感染防護有効性を確認した(率比各0.32・0.48)。ワクチンの伝播抑制効果は、デルタ株がアルファ株よりも小さく、またデルタ株の伝播減少は、BNT162b2ワクチンの2回接種後がChAdOx1nCoV-191ワクチン2回接種後より大きかった(率比 0.76)。この差異は、部分的にしか発端患者におけるサイクル閾値(Ct値)の差異に帰せられなかった。デルタ株伝播抑制効果はワクチンの2回目接種後経時的に低下し、ChAdOx1nCoV-191ワクチン接種発端患者では、12週目までに未接種者と同等となり、BNT162b2ワクチン接種後発端患者では大幅に低下した。接触者におけるワクチンの防御効果も、2回目接種後3ヵ月間で低下した。
評価
SARS-CoV-2に対するmRNA・ベクターワクチンの効果が、バリアントによって異なることは散発的に報告されてきていたが、英NHSの高信頼度データで確認された。オミクロン株に対する効果も異なることは間違いないとみられる。