鎌状赤血球症に対するLentiGlobin遺伝子治療は有望
Biologic and Clinical Efficacy of LentiGlobin for Sickle Cell Disease
背景
鎌状赤血球症(SCD)は遺伝子治療が最も期待されている分野の一つである。National Institutes of HealthのTisdaleらは、LentiGlobin(bb1111; lovotibeglogene autotemcel)による治療のHGB-206試験(改変βグロビン遺伝子をコードするBB305レンチウイルスベクターで遺伝子導入した造血幹細胞・前駆細胞を自家移植し、抗鎌状化ヘモグロビンHbAT87Qを産生させる)の第1・2相試験結果を発表している。先行試験で最適化した条件下で、35名の患者を対象として対し安全性・有効性検証試験を行った。
結論
追跡期間中央値17.3ヵ月で、全患者に細胞生着を認めた。総Hb濃度中央値は、ベースラインの8.5 g/dLから治療後6ヵ月で11g/dL 以上に上昇し、このレベルは36ヵ月時点でも維持された。HbAT87Qが40%以上を占め、赤血球の平均85%に見出された。溶血マーカーは低下しており、 評価可能であった25名では重度血管閉塞イベントは消滅した(登録前24ヵ月間には中央値年間3.5件発生)。非重篤有害事象が3件発生したが、1週間以内に消失した。最長37.6ヵ月の追跡で、造血器腫瘍は発生していない。
評価
SCDは遺伝子治療の最大・最適・最先進の主題であり、NEJMは、昨年CRISPRによるBCL11A標的化治療のCLIMB -121の初期結果を掲載している(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2031054)。いずれも初期相であり、第3相終了には最低2年かかるとみられるが、早期承認もありえる。