香港大が湖北省外への中国COVID-19伝播様式を報告
First-wave COVID-19 transmissibility and severity in China outside Hubei after control measures, and second-wave scenario planning: a modelling impact assessment
背景
中国では1月下旬以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大規模封じ込め政策が実施され、成功を収めたとされるが、湖北省外での第一波伝播様式はどのようなものだったのか。University of Hong KongのWuらは、COVID-19症例が最も多かった北京市・上海市・深セン市・温州市、および10省における、ウイルス実効再生産数(Rt)、同諸市と31省での確定致命率(cCFR)を推算・報告している。
結論
Rtは1月23日(封じ込め措置実施後)から大幅に低下し、その後1を下回っている。湖北省外のcCFRは0.98%で、これは湖北省の約1/5未満であった(5.91%)。流行規模がまだ小さい時点で封じ込め措置を緩和(Rt>1に上昇)した場合、積極的再介入によって有病率がその後ベースラインレベルに戻っても、緩和期間に応じ累積感染者数は指数関数的に増加した。
評価
2月初旬に武漢からの拡大を初めてシミュレートした香港大(https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30260-9/fulltext)による、その後の中国全土伝播に関する報告である。ロックダウンやその緩和の帰結、致死率に関し重要な情報を出しているが、各省の原データの信憑性や、PCR検査の深達性(特に介護施設)等に関する考察は欠けており、中国データの根本的欠陥である検査総数の不明性に関しては言及がない。


