統合失調症への「理想の薬」は未だ発見されていない:最大のシステマティックレビュー・ネットワークメタアナリシス
Comparative efficacy and tolerability of 32 oral antipsychotics for the acute treatment of adults with multi-episode schizophrenia: a systematic review and network meta-analysis
背景
統合失調症に対する抗精神病薬の用法に関し研究が蓄積されている。ドイツTechnical University of MunichのHuhnらは、プラセボ対照RCT 402件(n=53,463)の系統レビュー・ネットワークメタアナリシスにより、32種の抗精神病薬を比較した。一次アウトカムは、標準化評価スケールでの総合的症状改善である。
結論
薬剤間に効果の大差は見られなかった;全症状の改善の標準化平均差範囲はクロザピンの−0.89からレボメプロマジンの−0.03であった。他方、副作用では大きな差が確認された;服用中断リスク比はクロペンジキソールの0.52からピモジドの1.15、鎮静リスク比はピモジドの0.92からズクロペンチキソールの10.20、抗パーキンソン病薬使用リスク比はクロザピンの0.46からピモジドの6.14であった。また、体重増加、プロラクチン上昇、QTc延長にも大差があった。
評価
統合失調症薬物療法に関する最大のネットワークメタアナリシスであり、臨床医の中心参照点となりえる。著者らはインタビューで、"the 'ideal' drug has not been found yet." と言っている(https://www.psychcongress.com/article/jury-still-out-best-oral-antipsychotic-multi-episode-schizophrenia)。


