軽度外傷性脳損傷（mTBI）後の機能障害率は1年後で53%：TRACK-TBI研究
Recovery After Mild Traumatic Brain Injury in Patients Presenting to US Level I Trauma Centers: A Transforming Research and Clinical Knowledge in Traumatic Brain Injury (TRACK-TBI) Study
背景
軽度外傷性脳損傷（mTBI）後の機能制限発症頻度は。Medical College of WisconsinのNelsonら（TRACK-TBI）は、1,154名の軽症（GCS13〜15）患者を受傷後12ヶ月追跡し、CT画像上での急性期頭蓋内所見の有無が患者のアウトカムに影響するかを検証するコホート研究を行った（対照［OTC］：末梢整形外科的外傷後患者299名）。一次アウトカムは、2週、3・6・12ヶ月後のThe Glasgow Outcome Scale Extended（GOSE）スコアである。
結論
対照を含め大半の患者（mTBI 87% vs. OTC 93%）は受傷2週間後にはGOSEスコア8未満の機能障害を呈したが、受傷12ヶ月後では、OTC群38%に対してTBI群では53%で機能障害が見られた。CT異常所見があった患者のアウトカムは無所見患者より悪かった（RR:1.24）が、CT異常所見のない患者もOTCより機能障害が多かった（RR:1.28）。
評価
TRACK-TBIはこの問題に関するアメリカの本格的多施設研究で、すでに数多くの結果を発表している。ここでの結果は、mTBI後の機能障害に関する一般的印象を大規模に定量確認した。
