アメリカのフェンタニル規制REMSは無効
Assessment of the FDA Risk Evaluation and Mitigation Strategy for Transmucosal Immediate-Release Fentanyl Products

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
February 2019
321
開始ページ
676

背景

アメリカではフェンタニルの濫用が問題となっており、経粘膜即放性フェンタニル(TIRF)の処方は、Risk Evaluation and Mitigation Strategy(REMS) プログラム下におかれている。Johns Hopkins Bloomberg School of Public HealthのRollmanらは、Freedom of Information Act(FOIA)請求により取得された2012〜2017年の年次報告書を含む4,877ページのFDA文書の定性分析をおこない、TIRF REMSの有効性を評価した。評価項目は、1) 薬剤師・処方者・患者の知識評価、2) 調査・請求に基づく処方評価、3) FDAとTIRFスポンサーのコミュニケーション、4) REMSプログラムの修正、5) 不適合な処方者の登録解除、である。

結論

プログラム開始後12ヶ月で、薬剤師の7.9%、処方者の11.6%、患者の2.6%は、TIRFをオピオイド非耐容患者に処方できると誤って報告しており、その後も誤解は改善しなかった。60ヶ月時点の製品クレームデータ分析では、TIRFを処方された患者の34.6〜55.4%がオピオイド非耐容であり、48ヶ月時点では、処方者の34.2%が慢性非癌性疼痛を伴うオピオイド耐容患者にTIRFを処方していた。60ヶ月時点で、処方者の18.4%、患者の47.7%が、そのような誤用がFDAに承認されていると誤解していた。

評価

舌下錠・トローチ・スプレー等濫用容易型剤への規制だが、実効化されていないことが明らかになった。著者らはREMS制度自体のオーバーホールを求めており、JAMA Editorialも同調している。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell