前立腺全摘後の尿失禁患者へのPTではリラクセーションもありえる?
Individualized pelvic physical therapy for the treatment of post-prostatectomy stress urinary incontinence and pelvic pain
背景
前立腺全摘術後の尿失禁(SUI)や骨盤疼痛改善に骨盤底理学療法(PT)は有効か。UT Southwestern Medical CenterのScottらは、筋弛緩タイプまた筋緊張亢進タイプの骨盤底機能障害(PFD)を有する前立腺全摘術後SUI患者136名を対象として、骨盤底PTが症状・疼痛改善に有効であったかを検討する後向分析を行なった。
結論
筋弛緩タイプPFD患者25名は筋力トレーニング、筋緊張亢進タイプPFD患者13名はリラクセーショントレーニング、併合タイプPFD患者98名は筋力トレーニングとリラクセーションの両介入を受けていた。患者の1日の尿パッド使用数・骨盤疼痛はすべて有意に改善し、主にリラクセーショントレーニングを受けた患者においても骨盤底筋力の増加がみられた。
評価
これまで前立腺摘出後SUI全患者には筋力強化が必要だと考えられていたが、本研究は、筋緊張亢進タイプ患者にはリラクセーショントレーニングの方が有効である可能性を示した。一般にこの領域ではRCTによる検証が少ない。