予防的ブスコパン皮下注は死前喘鳴をSILENCEに導く

Effect of Prophylactic Subcutaneous Scopolamine Butylbromide on Death Rattle in Patients at the End of Life The SILENCE Randomized Clinical Trial

原文を読む

背景

死前喘鳴の軽減のために抗コリン薬投与の慣行があるが、その有効性はRCTで確認されていない。オランダ Erasmus Medical Center Cancer Instituteのvan Eschら（SILENCE）は、同国内のホスピスス6施設で、事前にインフォームドコンセントを提供した終末期患者162名を対象に、ブスコパン20 mg1日4回投与の有効性を検討するRCTを行った（対照：プラセボ）。一次アウトカムは、4時間間隔で連続する2つの時点で測定されたBackスコア2以上の死前喘鳴の発生である。

結論

介入の一次アウトカム効果を認めた（13% vs. 27%）。死前喘鳴が発生するまでの時間も介入群で有意に延長した（HR： 0.44）。

評価

安楽死先進国オランダで敢行された終末期医療の数少ないRCTである。抗コリン作用薬は粘液産生を減少させるが、すでに分泌した粘液には影響を与えないので、死前喘鳴が明らかになった時点では効果が望めず、死前喘鳴開始前に抗コリン薬を先行使用する、というテーマの研究である。患者本人は苦痛を感じていない可能性が高いが、付き添いの家族の苦痛を報告する研究がある（https://www.hospat.org/assets/templates/hospat/pdf/j-hope/J-HOPE_3_12.pdf）。