パンデミック時の医療従事者の心理的苦痛は、女性看護師が最大:系統レビュー
Factors Associated With Psychological Distress in Health-Care Workers During an Infectious Disease Outbreak: A Rapid Systematic Review of the Evidence
背景
アウトブレイクに対応する医療従事者(HCW)の心理的苦痛は。英国University of SheffieldのSiroisらは、アウトブレイク(COVID-19・SARS・MERS・H1N1・H7N9・エボラ)時のHCWの心理的苦痛に関連する要因(人口統計学的特性・職業的・社会的・心理的・感染関連)に関する2000〜2020年11月の139研究のシステマティックレビューを行った(HCW 143,246名、データ138件)。
結論
大半がCOVID-19(k=107、n=34,334)とSARS(k=21、n=18,096)であった。女性・看護師・スティグマ経験・対処不適応・感染患者との接触/接触リスク・隔離経験が、医療従事者の心理的苦痛の危険因子であった。個人的/組織的/社会的支援、統御感(perceiving control)、前向きな勤務態度、アウトブレイクに関する十分な情報と適切な保護、トレーニング、およびリソースが、心理的苦痛の軽減と関連した。
評価
この問題に関する現在まで最大のシステマティックレビューである。SARS発生時のHCWに関する2つの研究では、33歳未満のHCWは高齢HCWと比較してストレスは大きいが精神医学的罹患率は高くなく、35歳未満のHCWは3年後に重度の抑うつ症状を報告する可能性が高かった、という。なお、経済的代償の効果に関する研究はみられないようである。


