褥瘡予防のためのハイテクエアーマットレスの恩恵はわずか？
Pressure Relieving Support Surfaces for Pressure Ulcer Prevention (PRESSURE 2): Clinical and Health Economic Results of a Randomised Controlled Trial
背景
褥瘡（PU）予防の体圧分散のためには、高価なハイテク・エアーマットレスを積極的に使用した方がよいのか。英国University of LeedsのNixonら（PRESSURE 2）は、42施設の成人入院患者（年齢中央値81歳）を対象に「ハイテク」エアーマットレス（alternating pressure mattresses: APM）と「ローテク」フォームマットレス（high specification foam: HSF）のPU予防への有効性を比較するRCTを行った（n=2,029）。一次アウトカムは、PU分類グレード2以上発症までの時間である。
結論
APM 6.9%、HSF 8.9%でグレード2以上のPUを発症したが、一次アウトカムに統計的群間差はなかった。PU発症までの平均期間はAPMで18日、HSFで12日であった。APMは費用対効果が高いとみられた。
評価
褥瘡予防のための専用マットレスの有効性に関する、高品質の研究は今までなく、これは「ハイテク」エアーマットレスと「ローテク」フォームマットレスの有効性に関するはじめての大規模研究である。一次アウトカムに差がないにもかかわらず著者らは「費用効果は高い」と評価しているが、APM使用の恩恵を受けるのは患者50名に1名で、寝たきりで、混乱し、低栄養、圧力領域に非常に赤い皮膚がある患者である、という。APMのポンプの音や振動を不快と感じたり、寝起きや周囲の移動がしにくい患者もいるという。
