ケア優先順位の暗黙の選択(IRNCA)は、患者中心ケアを劣化させる
Patient-Centered Care, Nurse Work Environment and Implicit Rationing of Nursing Care in Swiss Acute Care Hospitals: a cross-sectional multi-center study

カテゴリー
看護・母子医学
ジャーナル名
International Journal of Nursing Studies
年月
November 2017
Online first
開始ページ
Online first

背景

患者中心のケアと看護師の労働環境および「ケア優先順位の暗黙の選択(implicit rationing of nursing care: IRNCA)」との間の関連とは。スイスUniversity of BaselのSimonらは、同国23の急性期病院において、患者・看護師にアンケートを行い、患者中心のケアと看護師の労働環境およびIRNCAの関連を分析した(患者2,073名、直接患者ケアに携わった看護師1,810名)。看護師は、スタッフィングとリソースの妥当性、人員調整、リーダーシップ能力、IRNCAを評価した。

結論

90%の患者が看護師をよく理解できており、91%が治療・ケアが状況に適応していると感じ、82%が十分な情報を得たとし、70%が治療・ケアの決定に関わっていると回答した。スタッフィングやリソースの妥当性の高さは、患者中心のケアの高レベルと関連した(例:十分な情報[beta 0.638])。リーダーシップの好評価は、十分な情報提供(beta 0.403)および適切な治療・ケア(beta 0.462)と関連した。IRNCA増は、適切な治療・ケアの低減などといった患者中心のケアの低減に関連していた(beta 0.912)。

評価

IRNCAが患者中心ケアと相反することを確認し、患者中心のケアをもたらすためには、看護師の労働環境とIRNCAを考慮する必要がある、とした。バーゼルはIRNCAを定量化するthe Basel Extent of Rationing of Nursing Care(BERNCA)を開発しており(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18004188)、IRNCAを患者のアウトカムの予測因子とする研究も発表している(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18436556)。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(看護・母子医学)

Oncology Nursing Forum, International Journal of Nursing Studies