吸入トレプロスチニルは特発性肺線維症にも使える:第3相TETON-1試験
Phase 3 Trials of Inhaled Treprostinil for Idiopathic Pulmonary Fibrosis
背景
特発性肺線維症(IPF)に対する吸入トレプロスチニルの有効性・安全性は。
アメリカInova Fairfax HospitalのNathaらは、IPF患者598名を対象とした第3相RCT(TETON-1試験)を行った(対照: プラセボ)。一次アウトカムは、52週目の努力肺活量(FVC)の変化であった。
結論
トレプロスチニルの一次アウトカム有効性を認めた:−43.3 mL vs. −196.2 mL。二次アウトカムである臨床的悪化の発生率はトレプロスチニル群が31.8%、プラセボ群が44.5%であり、イベントリスクを有意に低下させた。安全性に群間差はなかった。
評価
肺動脈性肺高血圧症(PAH)に使用されているプロスタサイクリン誘導体である同薬の適応拡張試験である。既存の抗線維化薬による治療の有無にかかわらず、FVC低下速度の抑制と臨床的悪化の遅延をもたらすことを示した。既存薬への上乗せ有効性も好材料とされるが、実薬群における37%の高い治療中断率や、プラセボ群でも29%が脱落するほど患者背景が脆弱であった点は問題である。また、本試験は肺高血圧症の有無を評価しない設計であったため、「好ましくない副作用を許容してでも最大の治療効果を得られる最適な対象患者」を特定できない点も課題として残っている。適応拡張承認は確実とみられるが、IPFには最近、経口PDE4B阻害薬ネランドミラストが承認されており、競争は厳しい。


