IBDとHLA-DRB1*01:03の関連のミッシングリンクはIL-10自己抗体
Interleukin-10 Autoantibodies and HLA-DRB1*01:03 in Inflammatory Bowel Disease
背景
インターロイキン-10(IL-10)に対する中和自己抗体は、小児の単一遺伝子欠損症に類似した病態を引き起こし、炎症性腸疾患(IBD)と関連している可能性があるが、その背景には潰瘍性大腸炎の最も強力な遺伝的リスク因子であるHLA-DRB1*01:03アレルが関与している。
University of OxfordのUhligらは、Oxford IBD cohort・UK IBD BioResource等のデータを用い、IBD患者(4,909名)におけるIL-10中和自己抗体の保有率と、HLA遺伝型との関連を解析した(対照: 非IBD患者1,006名)。
結論
IBD患者3.5%からIL-10中和自己抗体が検出されたのに対し、非IBD対照群からは検出されなかった。この自己抗体によるIL-10中和活性は、IL-23・IL-1β等の炎症性サイトカインの分泌亢進と関連していた。さらに、Oxford cohortの高解像度遺伝子シークエンス解析において、IL-10自己抗体陽性とHLA-DRB1*01:03遺伝型との間に極めて強い関連性が示された(オッズ比 29.5)。
評価
HLA-DRB1*01:03がIBD発症と関連することは周知だったが、UKBiobank等の大規模データを用いて、IL-10自己抗体の産生誘導という明確な関連機序を提示した。重要な病因論研究であり、また、この抗体が単なるバイオマーカーではなく、サイトカイン中和を通じて炎症を増幅させる病態修飾因子であることも示した病態論研究でもある。
抗体価を低下させるための選択肢として、抗CD20抗体等によるB細胞・形質細胞枯渇療法、血漿交換、あるいは次世代CAR-T/CAAR-T療法などの標的治療戦略が論及されており、将来的の個別化医療の発展に向けて大きな一歩となった。


