急性ACL損傷後の手術不要論を支持:NACOX前向コホート研究
Patient-Reported Knee Function and Return-to-Sport Rates After Nonsurgical and Surgical Treatment of an Acute Anterior Cruciate Ligament Injury: Results From the NACOX Prospective Cohort Study
背景
急性前十字靭帯(ACL)損傷に対する初期治療において、手術治療と非手術治療(保存療法・リハビリ)のどちらが有益か。
スウェーデンのLinköping UniversityのCronéらは、同国7施設が参加したNACOX前向コホート研究において、急性ACL損傷患者272名のIKDC-SKFスコアを3、6、12、24ヵ月目に収集し、年齢・性別・受傷前活動レベル・新規重篤な膝損傷で調整した線形混合効果モデルを用いて解析した。一次アウトカムは、スポーツ復帰(RTS: 受傷前のTegnerレベル以上への復帰)であった。
結論
24ヵ月時点において、非手術群と手術群の間でRTS達成率に有意差は認められなかった。非手術群はRTS達成までの期間が3.5ヵ月と、手術群の8.1ヵ月に比べて有意に早かったが、26〜40歳では手術によりRTS不達成リスクが3.15倍高まった。
評価
この問題に関しては、KANONが手術不要論をRCTで結論し、パラダイムシフトが起こるとみえていたが、昨年その二次解析が多少の疑義を提出していた(https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/03635465251339061)。この論文は、リアルワールドデータでKANONの方向性を支持したものである。26〜40歳層において手術群のRTS不達リスクが非手術群の3.15倍に上ったのは、この年齢層の人々の社会的役割(仕事や家庭の優先)に加え、手術による長期間のリハビリへの負担が障壁となった可能性を示唆する。手術群で若年かつ受傷前活動レベルが高い患者に偏った選択バイアスがある点や、追跡不能によるデータ欠損率が高く、男性の回答率が低いなどの限界もある観察研究である。


