ACL再建術後には膝関節置換術リスクが健側比3倍に上昇
Long-term risk of knee replacement after ACL reconstruction using the contralateral knee as an internal control: a National Hospital Episode Statistics database study of 135 881 patients
背景
前十字靭帯(ACL)損傷は若年層に多く、将来の変形性膝関節症(OA)発症リスクを高める。
イギリスUniversity of BristolのAbramらは、同国のNational Hospital Episode Statisticsデータベース(n=135,881)を解析するコホート研究を行った。片側膝のみにACL再建術(ACLr)を受けた成人患者を対象に、手術施行膝と未手術の健側(対側)膝を内部対照として比較することで、終末期OAの指標である膝関節置換術(人工関節置換術)の長期相対リスクを評価した。
結論
術後20年時点の膝関節置換術施行率は、ACLr施行膝の2.44%に対し健側膝では0.88%であり、健側比のハザード比(HR)は3.10であった。半月板手術の同時施行を伴う場合のHRは3.50、単独施行では3.00であり、男性(HR: 3.27)および女性(2.85)のいずれの性別や年齢層・民族・社会的困窮度の層においても一貫して有意なリスク上昇が認められた。
評価
患者自身の健側膝を内部対照(コントロール)とするという方法論を最大規模データに適用して、活動性や遺伝要因などの個人差を排除し、ACLr後の膝関節置換術施行のリスクを明快に評価した。50代以降になると手術を受けていない健側膝ですら、一般人口より置換術リスクが高くなる(60代で健側7.67% vs. 一般3.10%)という初の長期知見ももたらしている。一方、手術自体が関節保護的に働いたか否かは不明で、データベースのコーディング上、極めて稀な後十字靭帯(PCL)再建術データが一部混入している可能性などの限界もある。


