現在のCOVID-19にパキロビッドは効くのか:PANORAMICおよびCanTreatCOVID試験
Oral Nirmatrelvir-Ritonavir for Covid-19 in Higher-Risk Outpatients
背景
パンデミック期にCOVID-19ワクチン未接種高リスク患者に対しニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッド)の効果が示されたが、ワクチン普及や自然感染免疫の獲得、およびウイルス変化後の現状況下では。
イギリスUniversity of OxfordのButlerら(英国PANORAMIC・カナダCanTreatCOVID)は、ワクチン接種済みで、COVID-19発症から5日以内の高リスク外来患者(PANORAMIC 3516名、CanTreatCOVID 716名)を対象に、通常治療への同薬追加(1日2回5日間)が入院・死亡リスクを低減できるかを検証するRCTを行った(対照:通常治療のみ)。
一次エンドポイントは、28日以内の入院または全死因死亡であった。
結論
パキロビッドの一次エンドポイント効果を認めなかった:両試験の統合解析において、一次エンドポイントの発生率は両群ともに約0.7〜0.8%。一方で、回復までの期間については、PANORAMICで14日 vs. 21日、CanTreatCOVIDで6日 vs. 9日と、通常治療群と比較してパキロビッド群で短縮傾向がみられた。
評価
対照群の入院・死亡率が1%以下と、パンデミック期でのEPIC-HRの6%から激減した状況下での試験で、一次アウトカム効果が証明できなかったことは当然ともいえる。ウイルス量の迅速な減少や回復期間の短縮といった効果は依然として確認されており、免疫不全者や高齢者、あるいは早期回復を優先すべき症例などでは適応が認められよう。なお、現状況下でのワクチン接種に関しては、本格的RCT結果はないが、有益性を示した観察研究は存在する(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2510226)。


