統合失調症治療におけるD2受容体遮断薬とムスカリン受容体作動薬:最新のネットワークメタ解析
Comparative efficacy and tolerability of antidopaminergic and muscarinic antipsychotics for acute schizophrenia: a network meta-analysis of randomised controlled trials indexed in international English and Chinese databases

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The Lancet
年月
February 2026
407
開始ページ
876

背景

統合失調症治療は長年ドパミンD2受容体拮抗薬が主流であったが、副作用の負担が課題で、2024年に新たに承認されたムスカリン受容体作動薬(キサノメリン-トロスピウム)は、従来のドパミン経路の上流に作用する新しい機序の薬剤として期待されている。
ドイツTUM UniversityのLeuchtらは、23種のドパミン拮抗薬とキサノメリン-トロスピウムに関する最新のRCT(英語および中国語)を統合し、その有効性と忍容性を解析するネットワークメタアナリシスを行った。

結論

438件のRCT(78,193名)を解析した結果、全24薬がプラセボより高い有効性を示した。標準化平均差(SMD)は−0.90(クロザピン)から−0.23(ルマテペロン)の範囲であった。特にクロザピン・アミスルプリド・オランザピン・リスペリドンは、他の少なくとも3薬より高い有効性を示した。新薬キサノメリン-トロスピウムは有効性で上位3分の1にランクインし、ドパミン拮抗薬特有の副作用を回避した。

評価

このテーマでネットワークメタアナリシスを継続している(https://www.thelancet.com/article/S0140-6736(19)31135-3/fulltext)TUMの最新報告である。全体的にはドパミン遮断薬系からムスカリン調節薬系へのシフトを印象付ける結果で、新薬キサノメリン-トロスピウムに関しては、ドパミン拮抗薬特有の体重増加や錐体外路症状、プロラクチン上昇を回避したとしている。他方、同薬には特有のコリン作動性・抗コリン作動性副作用がみられ、中断率が全薬剤中で最も高い点が留意される。著者らは、有効性において薬剤間に小〜中程度の差があることを強調しており、ガイドラインへの反映を推奨している。なお、中国からの5,117件の試験の多くは、著者の回答不足や方法論的懸念から除外され、今後のエビデンス構築における信頼性確保の重要性を示している。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell