高齢女性における筋力と死亡リスク:身体活動量を超えた生存への影響
Muscular Strength and Mortality in Women Aged 63 to 99 Years
背景
高齢女性において筋力は自立した生活と長寿を支える重要な指標で、これまでの研究では、ウォーキングなどの有酸素運動量と死亡リスクの関連は詳しく調査されてきたが、筋力そのものが、身体活動量や座位時間、心肺体力とは独立して死亡率にどう影響するかは不明であった。
アメリカState University of New YorkのLaMonteらは、63〜99歳の高齢女性5,472名を対象に、握力と立ち上がり能力という簡便な筋力測定値と全死因死亡リスクの関連を観察する前向コホート研究を行った。
結論
平均8.4年間の追跡で、筋力が高いほど死亡リスクが低下することが示された。握力および5回立ち上がりテストで示された最低筋力グループ(第1四分位)に対し、最高グループ(第4四分位)では、握力で33%、5回立ち上がりテストで37%死亡リスクが低かった。この傾向は、加速度計で測定した活動量や座位時間・歩行速度・炎症マーカー(CRP)の調整後も維持されており、有酸素運動のガイドラインを満たしていない女性においても筋力の高さが生存に寄与していることが確認された。
評価
自己申告ではなく客観的指標により、高齢女性において、単純な「筋力」が死亡予測因子として機能し続けているという事実を浮き彫りにした。著者らは、握力(全身筋力の指標)と椅子からの立ち上がり(下肢筋力・疲労性の指標)が異なる機序で老化を反映している可能性を指摘し、臨床現場で簡便なスクリーニングとして使える、としている。なお、握力の重要性に関してはすでにUK Biobankの男性を含めた巨大集団で、類似結果が出ている(https://www.bmj.com/content/361/bmj.k1651)。


