自律型義肢の動作速度は「中庸」に:VRによる検証
Movement speed of an autonomous prosthetic limb shapes embodiment, usability and robotic social attributes in virtual reality
背景
自律型ロボット義肢は四肢切断者の機能回復を助けるが、心理的に自分の体の一部として統合(身体化)させるためには、動作特性が及ぼす影響の解明が不可欠である。
日本Kochi University of Technology(高知工科大学)のHapuarachchiらは、19名の健康な参加者を対象に、VR空間での前腕義手の自律的な動作速度が、使用者の身体所有感やエージェンシー(自己効力感)、ロボットに対する社会的属性の評価にどのように関与するかを検討した。
結論
身体所有感・エージェンシー・ユーザビリティの評価は、動作時間が1秒の中程度の速度で最大となり、125ミリ秒の高速や4秒の低速では有意に低下した。能力評価(Competence)は中速からやや高速で高く、不快感は最も速い速度で有意に高まった。自律的な動きには、身体化と実用性を高める最適な速度範囲が存在することが示された。
評価
自律(AI)型義肢デバイスの設計において中心的役割を演じる身体所有感・自己効力感に関する面白い実験で、「早すぎも遅すぎもしない」自己期待に沿った「適切な速度」が心理的統合の鍵であることを示した。ここでの結果は健常者におけるものだが、患者において確認されれば、次世代のAI搭載義手における重要な設計指針となる。また、ロボットに対する「温かみ」や「能力」といった社会的属性も動作速度に左右されるという発見は、人間とロボットの協調における社会心理学的な最適化の必要性を裏付けている。


