シスチノーシスに対する革新的造血幹細胞遺伝子治療:全身の細胞をcross-correctionする
Hematopoietic Stem-Cell Gene Therapy for Cystinosis
背景
シスチノーシスは、シスチンを排出する輸送体シスチノシンの欠損による希少難病で、根本治療はない。
アメリカUniversity of CaliforniaのCherquiらは、同成人患者6名を対象として、患者自身の造血幹細胞に正常遺伝子(CTNS)を導入して体内に戻す自家造血幹細胞遺伝子治療CTNS-RD-04の安全性を検証する第I/II相試験を行った。
一次エンドポイントは、治療の安全性と副作用プロファイルであった。
結論
最長63ヵ月の追跡の結果、全例で持続的な生着が確認された。有害事象の多くは前処置の化学療法や原疾患に起因する軽度から中等度のものであり、CTNS-RD-04による直接的な重篤事象や腫瘍化は認められなかった。最も遺伝子導入効率が低かった1名を除き、全例で白血球中のシスチンレベルがベースラインから低下し、皮膚や腸粘膜のシスチン結晶も減少するなど、全身性の改善傾向が具体的な数値(ベクターコピー数0.51〜2.67)と共に示された。
評価
遺伝子導入幹細胞の移植は確立されつつある方策だが、遺伝子導入細胞がマクロファージ等に分化して、トンネルナノチューブ(TNT)による細胞架橋を通して、機能的タンパク質を周囲の病変細胞に直接受け渡す(クロス・コレクション: cross-correction)という驚異のメカニズムの臨床応用可能性をヒトで示した点が画期的である。著者らは、従来の薬物療法では防げなかった神経・筋機能の低下が、本治療後に一部の患者で改善・安定したことを特筆している。
5年以上の長期安定性が確認された例もあり、これまで一生涯にわたる多量の投薬(1日平均35.8錠)を強いられてきた患者にとって、一度の治療で全身の臓器を守る「機能的治癒」への道を開く画期的な一歩である。


