高齢者への処方削減(Deprescribing)のために、医師にEHR介入
Electronic Health Record Intervention and Deprescribing for Older Adults: A Randomized Clinical Trial

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
January 2026
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開始ページ
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背景

医師たちに対し、高齢者に対する潜在的に不適切な薬物(PIMs)処方の中止または減量(Deprescribing)を促す有効な手法は。
アメリカBrigham and Women’s HospitalのLauffenburgerらは、医師201名と患者1,146名を対象に、行動科学の知見を応用した2種類の電子カルテ(EHR)介入ツールが、通常診療と比較してベンゾジアゼピン系薬剤や抗コリン薬などの中止率を向上させるかを検証するRCTを行った。
介入は行動科学に基づき2群で実施された。「事前コミットメント群」は、初診時に医師へ処方中止の議論を促すメッセージを送り、再診時にリマインダーを表示する。「ブースター群」は、初診時に通知を出し、4週間後に受信トレイへリマインダーを送る手法である。一次アウトカムは、初回患者診察時またはそれ以降から追跡調査終了時までの間に、少なくとも1種類の薬剤の削減を行ったこととした。

結論

二種の行動科学介入の何れもの効果を認めた:一次アウトカムは、通常診療の26.8%に対し、事前コミットメント群で36.8%、ブースター群で34.3%であった。通常診療比で事前コミットメント群は40%、ブースター群は26%有意に処方中止の可能性が高まった。

評価

医師たちの臨床上の意思決定における「慣性」を打破するために、EHRレベルでの医師への通知のタイミングや内容に工夫を凝らす、という介入である。著者らは、警告表示疲れ(Alert Fatigue)になることを避けさせるために、医師に対し事前に「削減の議論を始めるか」を問いかける行動経済学的なアプローチが、診療フローを妨げずに高い効果を上げたことを強調している。Deprescribing(特に中止)は医師と患者の双方にとって心理的ハードルが高いが、本手法は低コストかつ広範囲に実施可能である。ただし、介入停止後の長期的な持続性や、複数の併存疾患を持つ患者への適用については、さらなる検証が必要である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell