ウェアラブルデバイスデータの機械学習でスポーツにおける非接触性下肢外傷リスクを予測する:系統レビュー
Machine Learning Applications in Non-Contact Lower Limb Sports Injury Prediction: A Systematic Review
背景
スポーツにおける非接触性の下肢外傷(前十字靭帯損傷や肉離れなど)は、外力によらずバイオメカニクスや身体的要因の相互作用で発生するため予測が困難で、従来の統計手法では、複雑な非線形関係やデータの不均衡への対応に限界があった。
中国Anhui Polytechnic UniversityのZhangらは、高次元データを扱う機械学習(ML)の下肢外傷予測における有効性、手法の特徴、および臨床応用への可能性を検討する系統レビューを行った。
結論
15研究を同定・解析した。機械学習は下肢外傷の予測に高い可能性を示し、対象研究のうち決定木(CHAID)を用いたモデルが最高でAUC 0.91という優れた識別性能を記録した。全研究の平均AUCは0.73、感度の平均は0.63であり、特にランダムフォレストやロジスティック回帰が頻繁に用いられていた。しかし、感度が0.35に留まるモデルもあり、不均衡データへの対策が不十分な場合、実際の負傷例を正しく特定する能力にばらつきがあった。
評価
モデルの予測精度に寄与したバイオメカニクス指標は、主に「関節可動域」・「筋力不均衡」・「神経筋制御」の3点で、足関節の背屈可動域制限や、ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力比(H:Q比)の乱れ、ジャンプ着地時の膝の「内入り」といった動的な動作パターンの数値が、怪我の予兆として重視されている。単なる筋力値よりも、左右のバランスや関節の柔軟性といった「動的機能の左右差」が、非接触性外傷の特定において極めて重要な変数となっていることが示された。しかし、総体的には、MLは精度的に期待できるが、現場で使うための標準化が未だできていない、ということになる。


